Research on Neural and Genetic Bases of Behavioral Individuality and Species-Specific Behaviors

「行動の個性・種特異性」をつくる学習発達の神経分子メカニズムの研究 


「生まれと育ち」が、学習行動の発達にどのように影響を与えるのか? その神経分子メカニズムを明らかにしたい。

 

これが、当研究室で大事にしている研究ビジョンです。

どのような刺激をいつ入力すると学習が進むのか?

そのときに脳内ではどのような遺伝子発現変化が起こっているのか?
なぜ種特異的な行動を学習できるのか?

 

 動物は、生得的な制約(拘束)のもとに学習を成立させ、行動を生成します。単純に抽象的な真っ新な白紙で生まれてくるというよりも、白紙の和紙もあれば、白い油絵キャンバスのような異なった材質の土台をもって生まれてくる。これが動物種・個体によって違うのではないでしょうか。そして、そこにどのような絵を書くかは生まれ育った環境によって、さらに個々で違う。

 ゆえに、和紙に油絵具で書こうとしても、油絵キャンバスに墨汁で書こうとしても上手く書けません。和紙・キャンバスにはそれぞれに適した描き方がある。また、白いスペースに、何を描くかということには自由がありますが、その対象を見る「経験」が必要です。そのような生まれもった制約・発達過程の経験のなかで、動物個体は、”自分らしい絵”、つまり「種特異的・個体特性を示す行動表現型」を獲得・発達しているのではないだろうか、と考えています

 和紙・キャンバスといった違いはどのように決められているのか?、描きたいという対象をどのように決めるのか?、描く経験はいつ積んでいるのか?こういったことを 動物行動学的に、神経生物学的に理解していきたいと考えています。

 

 そのために適している生物モデル・行動モデルが、歌鳥(Songbirds)の歌発声学習行動です。

 

 

『発声学習 (vocal learning)』は、ヒトの言語や小鳥の歌といった音声コミュニケーション形成に重要です。しかし、それらが脳内の神経回路・遺伝子によって、どのように制御されているのか?、どのように発達し?、進化してきたのか?まだ、ほとんど理解されていません。これらの問題を行動・神経回路・神経細胞・シナプス・遺伝子レベルで理解することを、当研究室では目指しています。

 

発声学習行動は『生まれ(遺伝)と育ち(環境)』の両方の影響を受けて個体差・種差を形成します。遺伝(ゲノム)と環境(外的・内的)がどのタイミングで、どのように相互作用しているか?そして、動物自らが生成する発声という自発的行動そのものが、どのような役割を担っているのか?「学習行動」を通して、『個体が、その個体らしく』なっていくのかを生命科学的に理解したい、と考え研究を行っています。

 イントロダクション 参照; 一般向け解説

 


 

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